2013年8月19日月曜日

10日間に及ぶ旅の軌跡

 ご存知の方も多いと思われるが、僕は労働していない。労働とは何かという定義を今ここで書くわけではないが、皆さんが想像する労働という意味の通り賃金が発生している事を行っていない。
しかし、それでも僕はちょくちょく東京へ行ったりしている。しかも、夜行バスや無賃乗車でなく、立派に新幹線を使ってである。僕はスピードを愛しているのだ。人間としてはのんべんだらりとした人間ではあるけれど、電光石火の電撃的存在でありたいと思っている。
8月7日に行われた初盆を終えてから、急ぎ伊丹空港に向かい、そのまま岩手の西和賀という、過疎地まで向かったのだ。
この西和賀町では昨年より銀河ホール学生演劇事業(以下銀ガク)というプロジェクトが行われていて、昨年の夏に参加し、今回は二度目となった。
このプロジェクトは言わばよくある町おこしイベントである。僕は町おこしイベントを嫌悪して久しく、何故なら個人的理由として僕は都市生まれ都市育ちであり、田舎はバカンスで行く為の場所であり、田舎という概念も別に好きではないからだ。しかしながら、去年参加してから実情と経験を踏まえて素晴らしい催しだと思ったのである。そうでもなければ、義理や人情だけで労働していない僕が10万もの金を用意するはずがない。ちなみに銀ガクに参加するには10万もの金はいらないのだけど、僕は昨年も東北へ行くのだからプロジェクト終了後東北旅行に出かけると決めているので用意しているだけだ。
銀ガクは合宿型の演劇とアートを学んでいる学生や若者が集まる事業なのだけど、なぜわざわざ岩手の寒村で行われているのかというと、西和賀町には銀河ホールというバブル期に造られたハコモノ劇場があり、当然ながら他のハコモノに漏れず赤字運営を強いられている状況である。そのハコモノを使って町を活性化させたいという目論見と、運営側は合宿をしながら共同制作できる環境を通して交流やネットワークを作れればという目論見が合致しているわけである。
ここまで書くとよくある町おこしだが、このプロジェクトの面白さはゆるさにある。西和賀町には温泉地があり、その旅館で1週間滞在するのだが毎晩宴会を自主的に催し、旅館側の方々も若者をいさめる訳でなく和気あいあいとやってくれるのだから堪らない。都会で病んだからこそ演劇だのアートだのという箸にも棒にもひっからない我々としては最高の環境である。三食の食事と、温泉、そこに主に関西、関東圏の若者が集まるのである。その自由さを町側の実行委員の方々も存分にバックアップしてくれており、地元の人もゆるいのである。朝から夜まで稽古や制作があるけれど、僕にはそこまで苦は無かった。そこには無理やりの圧力も悪い必死さも無いからだ。そして、1週間浸食を共にした若者達は連帯感も満たされる。
さて、今年はその部分が僕にはあまり刺激的ではなかった。結局、交流というのは参加した人間の性質や雰囲気で決まってしまう部分がある。その点で言えば今年は交流という部分で言えば希薄だったようにも思うわけだ。やはり、明るい元気なグループなり人をもう少し混ぜないと難しいだろうなと宴会部長の僕としては思うわけだ。

その銀ガクを終えてから僕と数人は盛岡へ出て、次の日は遠野などを中心に回る予定だったのだけど、同伴する後輩が最悪な形での裏切り行為を行って、そのまま盛岡を回る事になり、なんだか散々な気持ちをもったまま一泊後すぐさま冷麺をしこたま食べてから東北新幹線に飛び乗って、一路花の都東京へ繰り出す運びになった。
今回の帝都遠征は重大な密命を帯びており、それは9月14日から行われるファクトリー京都のオープニングパーティーの参加者を集めるための周旋活動を行うべく入京し、いつも通り渋家界隈やまんじ界隈と旧交を温めた。そのまま日帰りで新潟で行われている大地の芸術祭に切腹ピストルズの野良着の逆襲展に訪れそんなこんなで10日間珍道中を繰り広げて、なんなら未だに京都に軽く寄ってから尼崎に行ってるんだから面白いじゃないか。

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