2013年5月18日土曜日

イッパイアンテナ「いってきMARS」観劇感想

 昨日イッパイアンテナの大崎さんから招待していただいたので、公演「いってきMARS」を観劇してきた。イッパイアンテナさんとは前回の公演時に旧ファクトリー京都を使用していただいて、その打ち上げで友好を深めたのみならず、それ以降大崎さんとは個人的に呑み話す事が何度かあった。
また舞台監督にはファクトリーのメンバーである葛川さんも関わっており、僕が観に行く為の条件は出揃ってると言うところであり、その感想などを書いて行こうと思うのだけど、そこまである種通々であっても僕は提灯持ちの感想を書くつもりは毛頭ない。
 イッパイアンテナの作風というのを個人的趣味としてはあまり好きではないのだけれど、大崎さんとの会話を通じて、脚本演出家である大崎さんの作り出す作品と個人の趣向のギャップに僕は魅かれている。作品の内容云々が合うか合わないかでなく、僕はその作り手達の人間にこそ興味があるのだ。そして、もう一つ重要な事が大崎さんと僕は京都の演劇状況に対する問題点と、また社会全体の問題点をある程度共有しているという事がある。それは凄く有難い同志のようなものであり、集団で活動している部分で言えば大事な先輩でもあるのだ。
その共有部分、閉塞状況として火星有人飛行の訓練の為のモジュール内というメタファーは分かり易く、引き込まれた。しかしながら全体としてのキレは無かった様に思う。素材は集っているが調理がいまいちというのが僕の感想だ。閉塞状況を閉塞的な形で描いてしまってはあまりに直球過ぎて興醒めするとは思うけれども、それにしても何というか拍子抜けの感は否めなかった。
舞台美術にかんしてもモジュール内を普通の部屋として作中描くのだけど、それも近未来的な2001年宇宙の旅のようなみんなが想像し易い宇宙船ではなく、作品に入り込めなかったような個人的要因だったかなと思う。けれども、衣装の宇宙服はなかなか出来が良く、いやちょっと普通に欲しくなりました。
後半からは畳み掛けるようにクルー1人1人の悩みや背景が描かれていくのだけれども、そこにも意外性はなく、良く言えば古典的ではあるのだけど、悪く言えばベタベタな感じがどうしても残った。イッパイアンテナの作品は前回の公演と今回の二回しか観ていないのだけど、二つに共通しているのは集団性の中で現代を紐解こう、もしくは突破を見出そうとする世界観であり、僕はその世界観は大好きなので、そういう世界観に思い入れが強いから「こうして欲しい」などとエゴが出てくるからこういう感想になるのかもしれません。
もう一つ決定的に恥ずかしくなったのはビートルズのブラックバードの件で、あれはあまりにベタベタで恥ずかしくなってしまった。その後のドタバタの中でオアシスのサムマイトセイがかかるのだけど、何故かビートルズよりもオアシスの方がしっくり来ている様な気がして一ロック愛聴家としては何か示唆に富むなと1人思い、家路の道中僕はサムマイトセイを聴きながら帰った。

とにもかくにも百聞は一見にしかずである。20日まで公演があるので興味ある方は観劇するのもまた一興であると思う。僕は作品ではなく、イッパイアンテナに関わっている人々は大好きなのだ。彼らの愚直さと活動継続の意志を愛して行きたいと思う。

イッパイアンテナ 15th session『いってきMARS』
【会場】元・立誠小学校 音楽室
【日程】
2013年5月18日(木)~20日(月)
18日(土) 14:00/19:00
19日(日) 14:00/18:30
20日(月) 13:00
【料金】
前売 一般 2000円/U-25 1500円
予約 一般 2300円/U-25 1800円/U-18 500円
当日 各前売料金+500円。

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